RAGとMCPを活用し、AIによるABBロボットのプログラミングと修正を支援する研究が発表
自然言語の指示からABB RAPIDプログラムを生成し、シミュレーションを通じて自動でテスト・デバッグを行うワークフローが提案された。
arXivに公開された新たな研究(arXiv: 2608.21417)は、言語モデルを活用してABB製産業用ロボットのプログラミングを支援する手法を提案した。製造現場における製品やモデルの切り替え、生産工程の変更に伴うプログラミング時間の削減を目的としている。
このシステムは、自然言語によるタスク指示を受け取り、ABBロボット用言語であるABB RAPIDコードを生成する。特徴的なのは、モデル単体の知識に依存せず、2系統の検索拡張生成(RAG)を活用している点だ。検証済み技術文書と実際の製造テンプレートの双方を参照することで、システムの個別仕様により即したコードを生成する。
さらに、専用のMCP Serverを構築して言語モデルのクライアントとABB RobotStudioを直接連携させた。これにより、コードのアップロード、シミュレーションの実行、エラー診断フィードバックの取得を自動で行い、モデルが反復的にプログラムを修正できる。一度のコード生成で終了せず、コード生成とテストのフィードバックループを実現している。
研究チームによると、シミュレーションの活用により、静的解析や意味解析では検出が難しい実行時エラーの発見が可能になったという。報告された具体例には、ワークの不適切なリリース高さや、ロボットアームの可動範囲外にある目標位置などが含まれる。
評価は30問の情報検索テストセットと限定スコープでのコード生成テストにより行われた。ただし、詳細な成功率などの数値データはまだ公開されておらず、実際の工場環境や多様なロボット形態への適用性は検証段階にある。なお、本論文はarXivのv1版であり、2026年10月にアブダビのKhalifa Universityで開催されるCIE53での発表が決定している。
MCPを活用してAIとエンジニアリングツールを連携させ、実機投入前にコードを自動検証するアプローチの可能性を示している。製造業においてプログラミング工数の削減が期待される一方、実際の現場環境における安全性や信頼性の検証が今後の課題となる。